「コンクリート」について深堀り№2「スリットとは」
今回は、外構工事で一番使われる「コンクリート」について、あっと驚く事や、聞いたことあるけど、よくわからないな。
と言った事を、豆知識的に連続3回に分けて紹介していきたいと思います。
前回の深堀り№1「コンクリートの歴史から未来まで」ご覧いただくと、さらに面白いかもしれません。
LINK:「コンクリートの歴史から未来まで」 (←クリックで開きます)
今日はスリットの役割や、種類についてご紹介していきたいと思います。
これから外構プランをご検討される方は、是非参考にしてみて下さい。
・そもそもスリットって?
「スリット」とは… 切れ目、隙間の事 by Wikipedia
ざっくりその通りです。
ご近所の駐車場を見ると、コンクリートに細い線、切れ目が入っていると思います。
それが「スリット」と呼ばれるものです。
もともと、建築業界では耐震的な配慮で入れられる「構造スリット」を意味することが多く、耐震スリットとも言います。
エクステリア業界では、ひび割れ防止の為に活躍する機能を持っていますので
「クラック防止スリット」なんて呼ばれています。
・なぜスリットを入れるの?
前回の 「コンクリートの歴史から未来まで」 の記事で、寒暖差でコンクリートが伸縮を起こすとお話ししました。
寒暖差での伸び縮みが原因で、いとも簡単に「ひび割れ」を起こしてしまいます。
表面積が少ない程、伸縮の影響も少なく、ひび割れは少なくなります。
ですから、基本的に5メートルに1本はスリットを入れることをお勧めしています。
「我が家、もしくはお隣さんはスリットたくさん入ってる!」という方もいるかもしれません。
意匠的に沢山入れている場合もありますが、実は沢山スリット入れればいいって話ではないんです。
長野県では特に、冬の冷え込みが強い地域です。そうすると、凍み上がりでコンクリートが軽くて浮く。
なんてことがあります。春になったらコンクリートの高さが変わってる!といったまさかの事態が起こる事も。
ですので、デザイナーがプランを作成するときは、
性能的にも、意匠的にも丁度いいスリットをその環境や外観に合わせて探っていきます。
そんな所も、デザイナーやプランナーの力量が図られるところですね。
他にもコンクリートの上に水が溜まらない様に、スリットから水を地中へ流す役割もあります。
そうすることによって、冬場のコンクリート表面の凍結を防いだりしてくれています。
では、スリットにはどんな種類があるか見て行きましょう。
・スリットの種類
「スリット」=「隙間」ですから、隙間に何を入れようと自由なのがスリットの魅力の一つ。
しかし一歩間違えば、まったく家とマッチしない謎のスリットが出来上がってしまいます。
しっかりとイメージを固めて選んでいきましょう。
① 単粒砕石、もしくは化粧砂利
一番オーソドックスなスリットです。8センチから10センチのスリットに、粒のそろった砕石を入れる方法です。
色付きの「化粧砂利」も入れたりして、雰囲気を変化させることもできます。
後ほど出てきますが、化粧砂利+植栽の組み合わせは、相性抜群です。
・メリット
DIYで砕石を化粧砂利へ後から変更したりすることができます。
水の飲み込みが良いので、適度な勾配があれば路面凍結の心配が減ります。
・デメリット
小さなお子様(遊び盛り)がいる家庭では、格好の遊び道具になります。
気付いたら道路に砂利が…なんてことも。幅があるので足が溝にハマってつまづく原因にもなります。
② ピンコロ石、レンガ、ブロック等の素材スリット
こちらも良く見られるスリットです。隙間に素材を並べて雰囲気作りが出来ます。
家の外観や、周囲の環境に合わせて選定してあげると、より統一感が出て綺麗です。
・メリット
なんといっても意匠性の高さ。色々な素材が選べるので、可能性は無限大です。
そして雑草の心配がないのも魅力の一つです。隙間からの雑草を防いでくれます。
・デメリット
水がしみ込まない。化粧砂利の場合と違い、モルタルで固めてしまうため水を飲みこみません。
その為冬場の凍結の心配があります。表面を「刷毛引き」にしておくことをお勧めします。
③ コンクリートカッター(目地太郎)
目地太郎。ネーミングはさておき、目地太郎という専用の機械でコンクリートに切れ目を入れていきます。
近年流行りつつある「コンクリートカッター」まだあまりご近所では見かけないかもしれません。
今までは工場内などにクラック防止の為、使用されていたものです。
近年エクステリア業界に浸透してきています。
・メリット
こちらも意匠性の高さ。スタイリッシュでカッコいいです。
刷毛引きでも金鏝仕上げでもどちらも高級感が出てとても合います。
そして足場の良さ。スリットの幅は幅3~6㎜なので、溝に足がハマる心配はありません。
・デメリット
深さ30㎜~50㎜程度の為、水の飲み込みはあまり期待できません。凍結注意です。
こちらも「刷毛引き」仕上げをお勧めします。
まとめ
まだまだ可能性のあるスリット。今後どんな新しいスリットが開発されるか楽しみです。
今回は、そんな「スリットとは」について解説させてもらいました。
次回は、コンクリートシリーズ最終章「仕上げについて」コラムしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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